ユーシンブルーを求めて峠越えの山歩き 寄大橋~雨山峠~ユーシン渓谷 [山関連]
<西丹沢ユーシン渓谷>
2019年5月4日→
GW中盤に友人と毎年恒例のユーシンブルーを訪ねる山歩きをしてきました。
ユーシンブルーとは丹沢湖に流れ込むバックウォーターとなる玄倉川(くろくら)の中流域にある玄倉第二発電所のダム湖(玄倉ダム)の鮮やかなエメラルドグリーンやコバルドブルーなどの水の色を指していることが多いのですが、現在、玄倉林道は昨年発生した斜面崩壊により玄倉ダム前後の林道が歩行者を含めて通行止めとなっているので、今回も例年のように寄大橋より雨山峠を越えてユーシン上流部に訪れました。(復旧の見通しは2020年春頃とのこと→玄倉林道通行止めのHPはこちらです)
また過去のユーシン関連記事はこちらです。
前日夜にチェックした天気予報では西丹沢は15時頃より雨が降り出す予報たったのでユーシンには10時頃には入って昼前にはユーシンを後にして下山する計画にしました。
そして当日は予定通り車で地元を6時に出発し、登山口となる寄大橋に7時頃到着
寄大橋付近の駐車場(10台前後駐車可能)は、GWにより既に満車状態でこの日も多くの方々が山に入られていたようです
準備して7時過ぎに登山開始
寄水源の森をしばらく歩いた後は本格的な沢沿いの登山道となり、寄沢を幾度も渡渉しながら登ります
しばらく沢沿いに登ります
お互い何度も歩いたことがあるお気に入りの沢沿いルートです
スローシャッターで1枚
次第に高度を上げると登山道は沢から離れていきます
これから咲き始めそうなツツジ
眩いほど朝日に照らされた新緑
これぞまさに5月の丹沢!
気分も高揚します
タチツボスミレ
やはり丹沢の春は素晴らしい♪
寝不足の身体でも自然とエネルギーが湧いてきます
中盤は尾根斜面をトラバースする区間が続きます(鎖・ロープ有)
その後はV字の谷底を歩きます
青空に新緑が映えます
まさに癒しの空間
再び支尾根にいったん登ってから谷底を歩きます。
幾重もの切れ落ちる支沢の急斜面に咲くトウゴクミツバツツジも絵になります
やがて谷も狭まり水流もわずかとなります
そして最後は谷底からジワジワと詰めあがると・・・
雨山峠に到着 標高957m
ここは鍋割山稜(鍋割山~檜岳)の稜線上にある峠です
ここを越えて反対側のユーシン方面(玄倉川)に下ります
新緑のブナとミツバツツジ
雨山沢沿いの登山道は崩壊箇所が多く慎重に歩きます
玄倉川に流れ込む雨山沢の水もとても綺麗です
苔に囲まれた巨岩を流れる小さなナメ滝
この空間が独特で癒されます
やがて登山道は桟道となり雨山橋で玄倉林道に合流し玄倉川の河原へ向かいます
玄倉川に到着 ここまでの所要時間は3時間弱
この山域特有の真っ白な石英閃緑岩の巨岩とエメラルドグリーンの水流の組み合わせが最高です
この時期はさらに新緑も加わるので、まさに別天地の様相です
ユーシンブルーを見ると心から癒されます
カナヘビも時折姿を現します
シカの足跡も
ここは動物たちにとっても楽園のようです^^
岩に腰を下ろしバーナーで湯を沸かしてカップラーメン&おにぎりで昼食タイム
こんな贅沢な風景を楽しみながらのランチは最高でしたが・・・
自分たちがいるユーシンはまだ明るいのに、東側に位置する丹沢山~塔ノ岳方面の雲行きが次第に怪しくなってきた・・・
どうやら時折黒っぽい雨雲が南に位置する相模湾から北西に流れている
まだ11時半だったので、これはかなり前倒しなのか??(15時から雨予報という認識)
昼食を食べ終えた正午過ぎに、小雨が降り始めたので荷物をリュックにしまいレインウェアを着て予定通り下山を開始です。
復路も往路と同じルートなので雨山峠に向けて歩き始めるとさっそく遠くで雷鳴が聞こえてきた。。。
さらに進むと雷鳴が激しく鳴り響きましたが、このルートは雨山峠を除けば比較的標高の低い沢沿いなので稜線上や尾根に比べると落雷に遭う確率はかなり低いと判断しそのまま進みます。
そして雨山峠の手前でいったん雨が上がりましたが、把握していた予報ではこの後も下り坂の天気という認識だったのでそのまま寄大橋に向けて下山します。
雨山峠より5分ほど経過し寄沢の源流部を歩いている最中、再び雨が強まり視界にピカッ!と閃光を感じるとともに数秒後、ゴロゴロ!ドドドドドーン!!ともの凄い雷鳴が山中に響き渡り始めます。
その後も一定間隔で何度も雷鳴が鳴り響き、さらに5mm大ほどの雹(ヒョウ)がパラパラパラーッ!と降り始め荒天となります
ユーシンからほとんど休憩も入れずにひたすら歩き続けたことによる疲労感も重なり小休止していると、落雷による地響きのような感覚が足元まで伝わってきました(恐)
久しぶりに生きた心地もしない感覚を味わいましたが、ここは息を整えて少し冷静になり先を急ぐかそれともここで待機かあるいは引き返すかという判断が必要でしたが、この先も沢沿いでその後は支尾根の稜線上ではない道だったことと、残りの下山時間、雲の流れなど総合的な判断によりそのまま進むことにします。
雷鳴もそれまで何十回も聞いていたので慣れてしまい、あとは一心不乱に歩くだけという感じでした。
尾根をトラバースする区間を通過し沢沿いの登山道を下っていくと、鍋割山を源頭とした沢の水が明らかに変色していることに気付きます
稜線上には雨が急激に降ったことが窺えます
その後14時頃よりさらに雨が強まりましたが、ひたすら歩いて15時頃に寄大橋に無事に下山することが出来ました。
帰宅後に知ったのですが当日朝の天気予報では丹沢山域に「雷注意報」が発令され、東京や横浜などの都心部でも雹が降るほど予報よりも早めの時間帯に大気の状態が不安定となり、雷雲が急速に発達したようです。
いざ山の中で雷雲に遭遇してしまったら、身に付けているストックなどの金属物を外し、高い木からは4m以上離れ、山頂付近の岩稜帯や稜線上は歩かず、付近に避難場所がなければ窪地に身を屈めて雷雲が過ぎ去るまで待つなどして対処することくらいしか出来ないという現実に直面し、改めて山の天気の怖さというものを感じました。
今回の山歩きでは新緑の丹沢の素晴らしい光景とユーシンブルーには本当に癒されたのですが、後半以降は前述した内容のとおりとなりましたので、本当に山歩きというのはあらゆる意味で表裏一体で、ツラい登りの後は達成感と絶景が待ち受けてくれたり、楽しさと厳しさ、快晴と雷雨など正反対のことが共存していることも山に惹きつけられてしまう魅力なのかと思います。
でもこの日はあらかじめ午後から雨を想定した装備で何度も歩き慣れている登山道ということが、直前の天気予報を詳細にチェックしなかったという油断に繋がってしまったことが反省すべき点であり、この苦い経験はまだまだ今後に生かさなければならないと改めて感じました。
■歩行距離 15.8km
■累積標高 1,021m
下山して数日後、我々が歩いていた同じ山域の鍋割山付近で落雷事故が発生していたことを知りました。
お亡くなりになられた方に心よりご冥福をお祈りいたします。